2005-01-01
 ディズニーとはとバス(3)
 
お話を昨年の夏にまで戻さんといけません。前回の続きです。私から皆さんへのご報告はいつも遅れていますねぇ。バリ島珍道中は1年以上遅れてましたから。それに比べるとまだマシだと思ってください。

8月のディズニーシーは暑うございました。値段の高いプレミアム・ツアーはアトラクション4つまで待たずに乗れる特典付です。けど私、夜通しクルマで走ってたんで、思いっきり腹ペコでした。なんか食べようと思うてるうちにプレミアム・ツアーに入った(時間指定あり)んで、アトラクションにはすぐに乗れるけど、ずっと空腹状態が続いていたわけです。別嬪のガイド、NAKACHIさんはうちの一家が腹ペコなのを、まして私が一睡もしてないことなんかご存じありませんので、明るく次々といろんなアトラクションへ連れてくれはります。食事に誘ったら付き合うてくれたでしょうか? それはともかくアトラクション。ま、おもしろいのもあったし、こんなもんか、というのもありました。

システム調整から立ち直った「海底2万マイル」に向かいました。先ほど入口まで行って乗れなかった分です。カプセルみたいなもので海へ潜って行くらしいです。たしかに入口のところには海か池か知らんけど、水が迫っていました。けど、こんなチャチな乗り物で海へ潜れるのかちょっと心配になったのは私だけでしょうか?

しかし、心配無用。見事に海の底の景色を見せてくれて無事帰還。降りてから確かめたけど、あのカプセル、全然濡れてへんかった……。これが一番ショボかったかな。

それにしてもここで働く皆さん、ちょっと明る過ぎません? やたら笑顔でやたら手を振るんです。言うときますけど、私も顔は笑ってるけど、バカな千松、腹ペコですよ。しかも寝てない……。機嫌はイマイチですが、ガイドのNAKACHIさんには私も笑顔を返します。そのNAKACHIさんともそろそろお別れの時刻が近づいてきました。お別れしても特典はまだまだ残っているのですよ。ショーを見るいい場所を優先的に確保してくれたり……。これだけかい? けどみんなが楽しみにしていた花火は強風のため中止になりました。

幕張のホテルで一泊しました。夜のニュースでディズニーシーの様子が流れてました。記録的な人の多さだったそうです。なんで、そんな日に行かんならんねん? けど、こういう日こそ1万5千円のプレミアム・ツアーの値打ちがあったわけですね。次の日はディズニーランドです。酒の酔いも手伝って宣言してしまいました。

「ディズニーランドのプレミアム・ツアーのお金は父ちゃんが出そう!」

次の朝、バイキングの朝食(宿泊料金に入ってる)を食べたがために遅くなり、ディズニーランド開門と同時に入園できませんでした。ツアーはもう全部売り切れですと。ポーズとして残念がりましたが、内心は1万5千円助かった、でありました。あとで聞くと、シーみたいな親切なツアーは設定がないとか。ま、どっちでもよろしい。思い切り並ばんとしょうがない。

あんなところへ超真夏日に二日続けて行くもんではございません。しかも並んでばっかり。パレード見ても楽しくない。でも、ここのスタッフは笑顔ばっかり。軽食レストランの中で見た光景です。注文したのと違うのが出てきたらしく、何処かのお母さんが一生懸命レジのお姉さんに訴えてはります。騒がしくてよく聞こえないのですが、かなりしつこく説明しておられます。レジのお姉さんは、

「申し訳ございません」

言葉はよろしい。けど、これをヘラヘラ、ヘラヘラ、思いっきりの笑顔で言われてごらんなさい。「なめとんのかい?」と言いたくなりますよ。ここは笑うな、ちゅうねん。他人事ながら腹立ちましたぜ、ほんまに。

帰り際、今日こそ花火を見ようと、中止になってないことを確認して門の外へ出ました。たしか8時からだったと思いますが、クルマへ戻って駐車場から見ようと思ったのです。……花火は8時15分になってもまだ始まりません。その辺に立ってた警備のバイトの兄ちゃんに訊いてみました。

「強風のため中止です」

いつから風が吹いとったんや? 門の外に居たら誰も教えてくれない親切なところなのでした。

8月15日、旅行の最終日です。クルマを幕張のホテルに置いたまま電車で東京へ。今日ははとバスに乗って東京観光です。はとバスに乗るのはなんと41年ぶり。当時、新幹線はまだなかったんです。私はまだ幼稚園児でしたから、「乗った」というだけの記憶しかございません。

昨日までのカンカン照りとは打って変わっての雨。本降りで寒いくらい。東京駅丸の内口を9時15分に出発する乗合観光バスに乗り込みました。座席は指定で、うちは前から2列目です。なかなかの好ポジションと言えましょう。前の眺めがいいのです。雨やけど……。

乗務員の方が乗ってこられました。今日はこの人達と夕方まで過ごすんですね。運転手さんはともかくガイドさんを見てびっくりしました。いや、本当にびっくりしたんです。こんな女性は滅多に居られません。女性の方になんと失礼な、とは思いますが言っちゃいましょう。ドラム缶みたいな人でした。いや、誇張でもなんでもありません。ウソやと思うんやったら証拠の写真をお見せします。この人との記念写真は一時、うちのパソコンの壁紙にまでなったくらいです。

この方はバスガイドになる前からこんな体型だったのでしょうか? たぶん違うでしょう。それならきっと就職試験の面接であっさりとはねられていることでしょう。その後、彼女の人生に何があったのか知りませんが、見事な体格になられました。これ、しかしバスでよかった。乗用車なら……。ひょっと軽自動車や原付、それに自転車なら……。

前に立ってマイクを持って、ニコッと笑われてまたびっくりしました。もう前の景色が見えません。何が好ポジションや? 彼女が近過ぎて私の視界はほとんどガイドさんで埋めつくされているんです。同んなじガイドでもディズニーシーのNAKACHIさんとエライ違いや……。お顔は全然不細工じゃありません。お声も綺麗です。でももう私は目をつぶるだけ……。

突然、通路側に座ってる私の横を、何かがきしみながら通り過ぎました。そっと目を開いて振り向いたら……ガイドさんでした。乗客の人数を確認するのに後ろの方へ歩いて行きはったんですね。しかし、なんせドラム缶。通路の幅よりまだ大きいんです。両方の座席をこすりながらやないと通れないんです。で、後ろまで行くと引き返さんならんのですが、つっかえてるんで方向転換ができない。そのままバックで戻ってきはりました。ズルズルズルズル……。彼女の制服は横から擦り切れてなくなって行くことでしょう。それより、この人の制服は特注で専用なんでしょうか? ぎょうさん生地が要りまっせ。

皇居前広場、浅草、新宿高層ビルで昼食。そのあと東京タワー、お台場を巡るという王道コースでした。ドラム缶……。もとい、ガイドさんの説明も分かりやすかったんですが、途中、あの靖国神社の横を通過しました。パトカーや機動隊でその日はものものしい警戒でした。おかげでその辺はびっしりの大渋滞。ガイドさんはこう言いました。

「誰かエライ人でも来るのでしょうか? いつもと違ってスゴイですね」

ガイドさん、あのね、今日は日本国にとって大切な日、終戦記念日なんですけど……。

それぞれの名所を回って、ガイドさんとお別れしました。……いえ、はとバスとお別れしたんです。実に楽しい東京見物でした。夕食を済ませてから幕張のホテルへ戻り、クルマに乗り込みました。お父さんはまだ仕事が残ってます。これを運転して京都まで帰らんならん。また夜中のドライブです。行きはディズニーシーへ早く着かなければという目標がありましたが、帰りはなんにもない。運転してても眠いのなんの……。サービスエリアを見つけるたんびに寝てました。おかげで無事、我が家へ到着いたしました。やれやれ……。

今回の旅の収穫はなんといっても、はとバスのガイドさんでしょう。お名前をフルネームで覚えております。C.Y.さんに皆さんも是非、会いに行ってくださいね。